※本ブログはフリューゲル行政書士事務所が運営しております。
「企業法務として経験を積んだけど、さらにキャリアアップしたい」
「法務の転職ではどんな資格が評価される?」
「転職するなら行政書士やビジネス実務法務検定を取った方がいい?」
企業法務として働いていると、このようなことを考える人もいるのではないでしょうか。
私は行政書士試験に合格した後、未経験から上場企業の法務部へ転職しました。
その後も企業法務としてキャリアアップするために転職活動を経験しています。
また、
- 行政書士
- ビジネス実務法務検定
- ビジネス著作権検定
- 知的財産管理技能検定
- 個人情報保護士
- 日商簿記
など、さまざまな資格を勉強・取得してきました。
その経験から感じるのは、
企業法務の転職では「資格をたくさん持っていること」だけではあまり意味がない
ということです。
法務経験者の転職では、基本的には実務経験が重要です。
そのうえで、
「これまで何をしてきたのか」+「これから何をしたいのか」+「そのために取った資格」
がつながっていると、資格が転職で使いやすくなります。
この記事では、企業法務の転職・キャリアアップにおすすめしたい資格を、私自身の経験も含めて紹介します。
- 結論|法務経験者の転職は「資格より実務」が先
- 転職で使える資格は「ストーリー」に組み込む
- 企業法務の転職におすすめの資格7選
- 1.ビジネス実務法務検定|企業法務の王道資格
- 2.TOEIC|英語を使う法務へ進みたいなら強い
- 3.日商簿記|商事法務・M&Aを目指すならおすすめ
- 私は実際に簿記を転職面接でアピールした
- 4.知的財産管理技能検定|知財を扱える法務を目指すならおすすめ
- 5.個人情報保護士|プライバシー分野を強みにしたい人
- 6.ビジネス著作権検定|コンテンツ・IT系法務と相性がいい
- 7.行政書士|法律力を示したいなら選択肢
- ただし法務経験者なら行政書士が最優先とは限らない
- 法務1年目の資格と「転職用の資格」は少し違う
- 法務転職では資格を何個持っているかより「何ができるか」
- 資格だけ取って実務経験がない場合はどうする?
- 転職を考える前から求人を見るのもおすすめ
- 私の場合は「フリーター→行政書士→法務→キャリアアップ」とつながった
- 企業法務の転職で資格を取るときの3つのポイント
- 企業法務の転職資格についてよくある質問
- まとめ|企業法務の転職では「なりたい法務」から資格を選ぼう
結論|法務経験者の転職は「資格より実務」が先
最初に一番重要なことをお伝えします。
すでに企業法務として働いている人が転職するのであれば、
資格よりも実務経験の方が重要
だと私は思います。
たとえば、
- 契約書を何件くらい扱ってきたか
- どのような契約を扱ったか
- 法律相談を担当したか
- 株主総会や取締役会に関わったか
- コンプライアンス業務を経験したか
- 個人情報を扱ったか
- 知的財産を扱ったか
- M&Aや組織再編に関わったか
- 英文契約を扱ったか
といった実務経験です。
企業法務の仕事内容については、企業法務とは?仕事内容・役割を未経験者向けにわかりやすく解説でも詳しく紹介しています。
資格は、こうした実務経験を補強するために使うのがおすすめです。
転職で使える資格は「ストーリー」に組み込む
これは元の記事でも書いていたことで、今でも考えは変わっていません。
私は、
転職で資格を使ううえで一番大切なのは「ストーリー」
だと思っています。
資格だけ並べても、
「資格が好きなんですね」
で終わってしまう可能性があります。
一方、
「現在は契約法務を担当しています」
↓
「今後は商事法務やM&Aにも仕事を広げたいです」
↓
「そのために会社法だけでなく財務諸表を理解する必要があると考えて簿記を勉強しました」
という流れなら、
なぜその資格を取ったのか
がわかります。
資格は、
これまでの仕事を深めるため
または、
これからやりたい仕事へ進むため
に取得すると、転職時にも説明しやすくなります。
企業法務の転職におすすめの資格7選
私がおすすめするのは、次の7つです。
- ビジネス実務法務検定
- TOEIC
- 日商簿記
- 知的財産管理技能検定
- 個人情報保護士
- ビジネス著作権検定
- 行政書士
ただし、
全部取得する必要はありません。
むしろ自分のキャリアに必要なものだけ選ぶことをおすすめします。
1.ビジネス実務法務検定|企業法務の王道資格
最初は、
ビジネス実務法務検定
です。
企業法務に関係する資格としては、最もわかりやすいものの一つだと思います。
ビジネス実務法務検定では、
- 契約
- 企業取引
- 情報管理
- 広告・表示
- 債権回収
- 会社法
- 労働関係
- 国際法務
など、企業活動に関係する法律を幅広く勉強します。
そのため、
「企業法務として法律を体系的に勉強しています」
という説明がしやすい資格です。
転職で使うなら2級を一つの目標にする
法律を初めて勉強するなら3級にも意味があります。
しかし、すでに企業法務として働いていて転職・キャリアアップに使うのであれば、私は、
2級以上
を一つの目標にすることをおすすめします。
すでに2級を取得していて、さらに高度な法務知識を勉強したいなら1級へ挑戦する方法もあります。
ただし、資格だけで法務経験を代替できるわけではありません。
あくまで、
法務経験+ビジネス実務法務検定
という組み合わせで使いましょう。
試験については、ビジネス実務法務検定は難しい?合格率・勉強時間・独学方法を合格者が解説で詳しく紹介しています。
2.TOEIC|英語を使う法務へ進みたいなら強い
次は資格ではありませんが、
TOEIC
です。
企業法務でキャリアアップを目指すなら、英語力は大きな武器になる可能性があります。
たとえば、
- 英文契約
- 海外企業との取引
- 海外子会社
- 国際法務
- 海外M&A
- 外資系企業
などを扱う法務では英語が必要になります。
私自身が法務の求人を見ていたときも、英語力を求める求人をかなり見かけました。
特に、
「法律もわかる+英語も使える」
という人材になれば、応募できる求人の幅を広げやすくなります。
TOEICだけで英文契約ができるわけではない
ただし、
TOEICで高得点=英文契約を扱える
ではありません。
英文契約には、
法律英語。
契約特有の表現。
英米法の考え方。
など、別の知識も必要です。
それでも転職時に、
「英語力を客観的な数字で示す」
という意味ではTOEICは使いやすいと思います。
これから海外法務へ進みたい人なら、
「将来英文契約を担当したいので英語を勉強している」
というキャリアストーリーにもつなげられます。
3.日商簿記|商事法務・M&Aを目指すならおすすめ
私が企業法務の転職で実際に役立ったと感じているのが、
日商簿記
です。
一見すると、
「法務なのになぜ簿記?」
と思うかもしれません。
しかし、
- 株主総会
- 計算書類
- 配当
- 組織再編
- M&A
- 会社法
などを扱うようになると、会計知識が役立ちます。
企業法務と会社の数字は無関係ではありません。
特に、
商事法務・経営法務・M&Aへ仕事を広げたい人
には簿記をおすすめします。
私は実際に簿記を転職面接でアピールした
ここは私自身の経験です。
私は転職面接で、
「経営法務を担当する立場として、数字にも強くなりたいと考えて簿記を取得しました」
という趣旨の説明をしました。
そして、実際にその転職でキャリアアップすることができました。
もちろん、
簿記を持っていたから採用された
と断定することはできません。
実務経験や面接など、さまざまな要素があります。
それでも、
「なぜ法務なのに簿記を取ったのですか?」
という質問に対して、
自分が今後やりたい法務と資格取得をつなげて説明できた
ことには意味があったと思っています。
これが先ほど説明した、
資格をキャリアのストーリーへ組み込む
ということです。
簿記2級については、簿記2級とは?独学勉強方法と無料のオンライン講座を解説で詳しく紹介しています。
4.知的財産管理技能検定|知財を扱える法務を目指すならおすすめ
次は、
知的財産管理技能検定
です。
知的財産管理技能検定は国家検定です。
- 特許
- 商標
- 意匠
- 著作権
- 不正競争
- 契約
など、知的財産について体系的に勉強できます。
知財業務は会社によって、
法務部が担当する。
知的財産部が担当する。
法務・知財が一体になっている。
など、さまざまです。
そのため、
すべての企業法務担当者に必要な資格ではありません。
一方、
「契約法務だけではなく知財もできるようになりたい」
「メーカーやIT企業へ転職したい」
「特許・商標・著作権に関わりたい」
という人なら、キャリアの方向性と資格がきれいにつながります。
知的財産管理技能検定については、知的財産管理技能検定のメリット!難易度・勉強方法・勉強時間は?で詳しく紹介しています。
5.個人情報保護士|プライバシー分野を強みにしたい人
次は、
個人情報保護士
です。
企業法務では、
- 顧客情報
- 従業員情報
- 採用応募者情報
- Webサービス
- マーケティング
- 個人データの第三者提供
- 漏えい対応
など、個人情報に関係する相談が発生します。
そのため、
個人情報保護について体系的に勉強する
という目的で使える資格です。
特に、
個人情報。
プライバシー。
情報管理。
ITサービス。
などを今後の専門分野にしたい人には相性があります。
ただし、
「個人情報保護士を持っていれば転職で圧倒的に有利」
とまでは考えない方がいいでしょう。
転職時には、
「実際に個人情報関連業務を担当していた」
という経験と組み合わせる方が強いです。
詳しくは、個人情報保護士はいらない?何に使う?勉強方法・勉強時間は?で紹介しています。
6.ビジネス著作権検定|コンテンツ・IT系法務と相性がいい
次は、
ビジネス著作権検定
です。
著作権は、
- Webサイト
- SNS
- 広告
- 写真
- 動画
- イラスト
- ソフトウェア
- 出版
- コンテンツ
など、幅広いビジネスに関係します。
そのため、
IT企業。
Web企業。
広告。
出版。
ゲーム。
コンテンツ企業。
などへ転職したい人なら、著作権を勉強する意味があります。
私はビジネス著作権検定上級に独学で合格しました。
上級合格は、一定の条件のもとで知的財産管理技能検定2級の受検資格にもつながります。
著作権を勉強する
↓
知的財産全般へ広げる
という資格ルートも考えられます。
詳しくは、ビジネス著作権検定上級は難しい?メリット・勉強時間・独学合格体験記をご覧ください。
7.行政書士|法律力を示したいなら選択肢
最後は、
行政書士
です。
私は行政書士試験に合格した後、未経験から企業法務へ転職しました。
そのため私自身にとっては、
キャリアを大きく変えるきっかけになった資格
です。
行政書士試験では、
- 憲法
- 行政法
- 民法
- 商法・会社法
- 基礎法学
などを勉強します。
特に、
民法。
商法・会社法。
といった法律は企業法務とも関係があります。
そのため、
「法律を本格的に勉強してきたことを示したい」
という場合には選択肢になります。
ただし法務経験者なら行政書士が最優先とは限らない
ここは31/91の記事と同じです。
すでに企業法務として働いているなら、
行政書士試験に何百時間も使うことが、自分のキャリアにとって最も効率的なのか
は一度考えた方がいいと思います。
たとえば、
海外法務へ進みたい。
→ 英語。
M&Aへ進みたい。
→ 簿記・会計。
知財へ進みたい。
→ 知的財産管理技能検定。
という方がキャリアとの関連性が高い場合があります。
行政書士は、
法律そのものを深く勉強したい人
にはおすすめです。
私が行政書士試験を選び、実際に企業法務へ転職した経験については、フリーターだった私が企業法務を目指して行政書士試験を選んだ4つの理由でも紹介しています。
法務1年目の資格と「転職用の資格」は少し違う
前の記事では、企業法務・法務部1年目におすすめの資格6選を紹介しました。
法務1年目なら、
企業法務に必要な法律を広く勉強する
ことが重要です。
だからビジネス実務法務検定を最優先にしました。
しかし転職・キャリアアップでは、考え方が少し違います。
すでに実務経験があるからです。
転職では、
「次にどんな法務になりたいのか?」
から逆算して資格を選ぶ方がいいと思います。
たとえば、
契約法務を極めたい
ビジネス実務法務検定
+実際の契約審査経験
国際法務へ行きたい
TOEIC・英語学習
+英文契約の経験
商事法務・M&Aへ行きたい
簿記・会計知識
+会社法・商事法務経験
知財法務へ行きたい
知的財産管理技能検定
+知財業務経験
プライバシー法務へ行きたい
個人情報保護士などで体系的に学ぶ
+個人情報関連業務
という形です。
資格からキャリアを考えるのではなく、キャリアから資格を選ぶ。
ここがポイントです。
法務転職では資格を何個持っているかより「何ができるか」
資格好きの私が言うのも変ですが、
法務経験者の転職で、
資格欄を埋めること自体を目的にするのはおすすめしません。
採用側が知りたいのは、
「この人を採用したら何を任せられるのか」
です。
たとえば、
- NDAしか経験がない
- 国内契約を一通り扱える
- 英文契約もできる
- 株主総会を担当できる
- M&Aを経験した
- 知財業務もできる
- 個人情報対応もできる
では、法務人材としての特徴が違います。
資格は、
その「できること」を補強するために使う
方が効果的だと思います。
資格だけ取って実務経験がない場合はどうする?
たとえば、
「知的財産管理技能検定を取ったけれど、現在の会社では知財業務を担当していない」
ということもあります。
その場合は、
資格を取って終わりではなく、
社内で関連業務へ手を挙げる
ことも考えてみましょう。
知財資格を取った。
↓
知財案件が来たら担当したいと上司へ伝える。
↓
実際に案件を経験する。
↓
次の転職で、
知財資格+知財実務経験
としてアピールする。
この方が、資格だけ持っている状態より強くなります。
資格は、
次の実務経験を取りに行くためにも使える
ということです。
転職を考える前から求人を見るのもおすすめ
「今すぐ転職するつもりはない」
という段階でも、求人を見ることをおすすめします。
求人を見ると、
自分が将来行きたい会社が何を求めているのか
がわかります。
英語。
英文契約。
M&A。
知的財産。
個人情報。
マネジメント経験。
さまざまな条件があります。
そして、
「3年後にこういう求人へ応募したい」
と思ったら、
今から足りない経験や知識を増やしていけばいいのです。
資格選びも同じです。
求人を見る→足りない能力を知る→必要なら資格を取る
という順番にすると、無駄な資格取得を減らせます。
私の場合は「フリーター→行政書士→法務→キャリアアップ」とつながった
私自身のキャリアを振り返ると、
フリーター。
↓
行政書士試験合格。
↓
未経験から上場企業法務へ転職。
↓
企業法務として実務経験を積む。
↓
簿記など周辺分野も勉強する。
↓
転職でキャリアアップ。
という流れになりました。
最初からすべて計画していたわけではありません。
しかし後から振り返ると、
それぞれの資格が次に進みたい方向とつながっていた
ことは大きかったと思います。
行政書士は、
法律職へ進むため。
簿記は、
経営法務・会社法の仕事を広げるため。
というように理由がありました。
だから面接でも説明しやすかったのだと思います。
未経験から上場企業法務へ転職したときの経験については、行政書士試験合格後、上場企業法務に未経験で転職・再就職した件で詳しく書いています。
企業法務の転職で資格を取るときの3つのポイント
最後に、資格選びのポイントをまとめます。
1.今までの仕事につながっているか
すでに担当している業務の専門性を高める資格です。
例:
知財担当
→ 知的財産管理技能検定
個人情報担当
→ 個人情報保護士
2.次にやりたい仕事につながっているか
今後担当したい業務のために取得する資格・スコアです。
例:
国際法務
→ TOEIC・英語
経営法務・M&A
→ 簿記
3.面接で取得理由を説明できるか
これが非常に重要です。
「有名な資格だから」
ではなく、
「○○という仕事をしたいので、そのために必要な知識を身につけようと思って取得しました」
と説明できる資格を選びましょう。
企業法務の転職資格についてよくある質問
法務転職に絶対必要な資格はある?
一般的な企業法務への転職で、必ず必要になる資格が一つ決まっているわけではありません。
まず実務経験を重視し、その経験を補強する資格を考えるのがおすすめです。
一つだけ取るなら?
企業法務全般の知識を示したいなら、ビジネス実務法務検定が使いやすいと思います。
TOEICは必要?
すべての法務求人で必要なわけではありません。
ただし海外取引・英文契約・国際法務などへ進みたいなら英語力は重要になります。
簿記は法務でも役立つ?
商事法務、会社法、M&A、組織再編などを扱うなら会計知識が役立ちます。
私自身も転職時に簿記を取得した理由を面接で説明しました。
行政書士は転職に使える?
企業法務に必須ではありません。
ただ、民法・商法など法律を本格的に勉強したことを示す材料にはなります。
私自身は行政書士試験合格後、未経験から企業法務へ転職しました。
資格をたくさん取れば有利?
資格の数だけで有利になるとは限りません。
実務経験+キャリアに関連する資格
という組み合わせをおすすめします。
まとめ|企業法務の転職では「なりたい法務」から資格を選ぼう
企業法務の転職・キャリアアップにおすすめする資格・試験は、
- ビジネス実務法務検定
- TOEIC
- 日商簿記
- 知的財産管理技能検定
- 個人情報保護士
- ビジネス著作権検定
- 行政書士
です。
ただし、
7つ全部取得する必要はありません。
法務経験者なら資格の数より実務経験が重要です。
そのうえで、
国際法務へ行きたいなら英語。
商事法務・M&Aなら簿記。
知財なら知的財産管理技能検定。
というように、
次に進みたいキャリアに必要な資格を選ぶ
ことをおすすめします。
そして転職時には、
「資格を持っています」
だけで終わらせません。
「これまで○○を経験し、今後△△の仕事をしたいため、この資格を取得しました」
と説明します。
私は実際に、簿記について、
「経営法務を担当するために数字にも強くなりたい」
という形で転職面接へつなげました。
資格は、それだけでキャリアアップさせてくれる魔法の道具ではありません。
しかし、
自分がこれまで何をしてきたのか
そして、
これからどんな法務になりたいのか
をつなぐ材料として使うことはできます。
企業法務として転職を考えているなら、
「何の資格が有利?」ではなく、「次に自分はどんな仕事がしたい?」
というところから考えてみてください。
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