行政書士にできる業務は多様にあります。
その中でも今回は契約書業務について話していこうと思います。
契約書業務は、企業法務を経験しない限り中々経験する機会を得ることは難しいです。
また、ひな形が通用しない世界でもあります。
契約書業務は、当事者の関係や意向に沿ってオーダーメイドの書類を作っていく必要があります。
許認可業務は、ひな形を埋めていくのに対し、契約書業務は逆なのです。
このような書類をつくるには知識をため込むだけではなかなか対応できません。
企業法務や弁護士の多くはOJTで経験を積んだ方が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、契約書業務ができるようになるための本はないか考えてみました。
今回ご紹介する本を、ご紹介する順番に読んでみてください。
高額なセミナーを受けるよりコスパ良く知識と経験を身に着けることができるはずです。
具体的には以下の流れで契約書業務を理解していきます。
・ 契約書の基本的な知識を身に着ける
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・ 契約書のリーガルチェックとは何かを知る
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・ 具体的な契約書のリーガルチェックのやり方を知る
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・ 実際にリーガルチェックをやってみる
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・ 契約書を1から作成するための知識を身に着ける
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・ 契約書を自分で作ってみる
企業法務1年目の教科書 契約書作成・レビューの実務
最初にご紹介するのは、「企業法務1年目の教科書 契約書作成・レビューの実務」です。
契約書業務に初めて触れる人には大変おすすめできる1冊です。
この本の目次は、以下のとおりです。
第1章 契約の基本的事項
第2章 契約書レビューの作法
第3章 締結時の留意点
第4章 契約書の構成と文例
第5章 秘密保持契約書作成・レビューのポイント
第6章 業務委託契約書作成・レビューのポイント
第7章 取引基本契約書作成・レビューのポイント
この本を読むと以下のようなことがわかるようになります。
・ 契約書の基本的な知識が身につく
・ 契約書のリーガルチェックの流れがわかる
・ 代表的な契約書のリーガルチェックの簡単なポイントがわかる
契約書業務を実務として行うための情報がしっかりとつまった1冊になっています。
例えば、「契約書で使う印鑑のイロハ」や「契約書を編集するデータ形式」などの細かいところまで教えてくれます。
まず最初に、この1冊で契約書や契約書業務の基本的な知識を身に着けていきましょう。
契約書のリーガルチェック
次にご紹介するのは、「契約書のリーガルチェック」です。
この本では、契約書のリーガルチェックについて深堀していきます。
この本の目次は、以下のとおりです。
第1章 私はこうやっています!~リーガルチェックの実際(本書の目的と特色/契約書案が送られてきたら/まずは全体を一読する ほか)
第2章 なぜ、そうやっているのか?~やり方の理由と解説(解説の方針/「契約書案の受付」に関して/「全体の一読」に関して ほか)
第3章 やってみよう!~売買取引基本契約書による再現(契約書案の受付/全体の一読/チェックの準備 ほか)
この本を読むと以下のようなことがわかるようになります。
・ 契約書実務の流れがわかる
・ 契約書のリーガルチェックをする際のポイントがわかる
・ 弁護士が契約書を見るポイントがわかる
契約書の知識を習得し、リーガルチェックのイメージを軽く持ったうえでこの本を読めば効果は何倍にもなることでしょう。
なので、この本は2冊目に読むことをおすすめしています。
実務必携 契約書チェックマニュアル
次にご紹介するのは、「実務必携 契約書チェックマニュアル」です。
今度は、この本を使って実際にリーガルチェックをしてみましょう。
この本には契約書のひな形とチェックポイントがしっかり書かれています。
ひな形を題材にチェックポイントを理解していくように読んでいきましょう。
この本の目次は、以下のとおりです。
第1章 初めての契約書チェック(取引基本契約書/相手方ひなの型のチェック及び第1次修正案の作成 ほか)
第2章 いまさら聞けない契約書に関するQ&A30ポイント
第3章 契約書チェックポイント(共通事項/売買基本契約書 ほか)
第4章 印紙税の基礎知識(契約書における収入印紙の取扱い/問題となるいくつかのケース)
この本の肝は、第3章です。
リーガルチェックの流れまでつかんだ後だからこそ、この本の効果が倍増するといえるでしょう。
トラブルを未然に防ぐ 中小企業の契約書
次にご紹介するのは、「トラブルを未然に防ぐ 中小企業の契約書」です。
この本は、契約書を作るために読む本というイメージです。
契約書を作るのは、契約書のリーガルチェックよりも難しいです。
リーガルチェックについてある程度理解ができた段階で手をつけていきましょう。
この本の目次は、以下のとおりです。
第1章 知識ゼロからはじめる契約書~最低限押さえておきたい基礎知識~
第2章 契約書の「形式」を押さえよう~“しきたり?がわかると作成はこわくない~
第3章 契約書の「読み方」に強くなる!~どの契約にも共通する“お決まり条項?の意味~
第4章 こんなときも契約書面が求められる!~下請法とフリーランス法を押さえよう~
第5章 代表的事例からポイントをつかむ〈前編〉~不動産(土地・建物)・商品・金銭・工事~
第6章 代表的事例からポイントをつかむ〈後編〉~システム・業務委託・株式・雇用・機密保持・利用規約~
第1章~第4章まではこれまでの復習や知識の補強に使えるでしょう。
ここで契約書作成に必要な基本的な知識を整理していきましょう。
その知識を活かして第5章、第6章を読むと効果的でしょう。
ここでは代表的で完成された契約書のひな形が掲載されています。
もっと時間がある場合は、このひな形をなぞって契約書を実際に作ってみるといいでしょう。
契約書の形式や内容について肌で触れていくことで覚えていくというイメージです。
契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本
次にご紹介するのは、「契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本」です。
この本は契約書のひな形に対して多くの条文への解説がついている本です。
契約書を作ってみる上で大いに参考にできる本です。
この本を読むことで契約書に必要な条文について肌で感じていきましょう。
この本の目次は、以下のとおりです。
第1章 契約書のキホンをおさえよう
第2章 物の売り買いの場合の契約~売買契約~
第3章 お金の貸し借りの契約~消費貸借契約~
第4章 物の貸し借りの契約~賃貸借契約~
第5章 人を雇う場合の契約~労働契約~
第6章 アウトソーシングの場合の契約~業務委託契約(製造物供給・準委任)~
第7章 その他の契約
第8章 多数の人と契約する場合の定型約款
第9章 契約締結後のトラブルの対処法
掲載されている契約書もオーソドックスなものが多くとても参考になります。
これまで得た知識とこの本で得る知識で1つの契約書を完成させる知識を得ていきましょう。
これまでの知識があればこの本もスラスラ読んでいけることでしょう。
(おまけ)契約書作成の実務と書式
最後におまけで1冊ご紹介します。
おまけとしているのは事務所に置いておきたい1冊という意味です。
情報量が多い参考書のような位置づけの本です。
この本の目次は、以下のとおりです。
第1章 契約実務総論
第2章 債権法の改正について
第3章 売買契約
第4章 賃貸借契約
第5章 業務委託契約
第6章 譲渡担保契約
第7章 M&A契約
第8章 販売提携に関する契約
第9章 合弁契約
第10章 AI開発契約
第11章 ソフトウェア開発契約
第12章 知的財産に関する契約
第13章 秘密保持契約
第14章 基本合意書
第15章 各契約に共通する条項
第16章 定型約款
第17章 協議を行う旨の合意による時効の完成猶予
これだけ情報がそろっていたら専門家としては1冊もっておきたいですよね。
困ったときの参考になることは間違いないです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここまでやれば知識やチュートリアルはもう十分。
次は実践あるのみです。
それでは今回紹介した本をもう一度振り返っていきましょう。
企業法務1年目の教科書 契約書作成・レビューの実務
契約書のリーガルチェック
実務必携 契約書チェックマニュアル
トラブルを未然に防ぐ 中小企業の契約書
契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本
(おまけ)契約書作成の実務と書式
今回の記事はここまでです。
今回の記事が行政書士を開業する人の参考になれば幸いです。