最近、「企業法務」っていう職種が気になっているんだ。
資格試験も頑張ってるし法律関係の仕事に興味がでてきたんだね。
でも、調べてもいまいち企業法務のことがわからないんだよね。
企業法務についてわからないことがあれば答えるよ。
元企業法務マンだもんね。
以下のようなことが知りたいんだ。
・ 企業法務の分野
・ 企業法務の仕事内容
・ 企業法務のやりがい、魅力
・ 企業法務におすすめの本
・ 企業法務が取るべきおすすめの資格
・ 企業法務になるには
・ 企業法務のおすすめの志望動機(志望理由)
たくさんあってごめんね。
企業法務だったときの経験をもとに、すべての疑問に答えてあげるよ。
よろしくおねがいします。
企業法務の分野
企業法務の業務はどんな分野にわけることができるのかな?
いくつかの分け方があるんだけど今回は2種類の分け方を紹介するね。
1種類目の分け方
1種類目の分け方は以下のとおりだよ。
・ 予防法務
・ 臨床法務
・ 戦略法務
主に「事案のフェーズ」に着目した分け方だね。
紛争が起こる前とか起こった後とかってことだね。
予防法務
以下のようなことを事前に防ぐための活動の総称だね。
・ 訴訟(法的トラブル)
・ コンプライアンス違反
・ 企業イメージの低下につながるトラブル
もう少し簡単にいうと以下のようにまとめられるね。
・ 問題が起きないようにする業務
・ 問題がおきても大丈夫なようにしておく業務
問題による損害を会社が被らないようにする業務ってことだね。
臨床法務
以下のような実際に起きた問題に対処する業務の総称だね。
・ 訴訟(法的トラブル)の対応
・ 取引先の売掛金(債権)の回収
・ 従業員トラブルの対応
顧問弁護士と連携して対応することも多いような業務だね。
問題が実際に起こったら難しい案件になりそうだもんね。
戦略(経営)法務
以下のように会社の経営的な判断を法務面でサポートする業務の総称だね。
・ M&A
・ 組織再編
・ 新規事業の立ち上げ
企業法務の花形ってイメージがある業務だね。
この業務に携われると一人前ってイメージがあるよね。
2種類目の分け方
2種類目の分け方は以下のとおりだよ。
・ 事業法務
・ 商事(会社)法務
・ その他
会社の「本業」「マネジメント」「それ以外」といったイメージの分け方だね。
今回はこちらの分類の仕方に合わせて企業法務の仕事内容をご紹介します。
企業法務の仕事内容
企業法務にはたくさんの仕事があるんだ。
さっきの分類に沿って教えてくれるんだよね。
事業法務
事業法務には以下のような業務があるよ。
「本業」に関する業務だったよね。
・ 契約業務
・ コンプライアンス業務
・ 知的財産管理業務
・ 労務支援業務
契約業務
契約締結~契約締結後までの一連の業務のことをいうんだ。
主に、以下の業務があるよ。
・ 各種契約書の作成業務
・ 各種契約書の審査業務
・ 契約書管理業務
問題のない契約書の作成や運用をマネジメントする業務なんだね。
コンプライアンス業務
コンプライアンスのための業務だね。
主に、以下の業務があるよ。
・ 許認可の管理業務
・ コンプライアンスの啓蒙業務
・ 内部通報の窓口業務
許認可を受けてビジネスをしている場合は特に重要になる業務だね。
ビジネスができなくなる可能性があるんだもんね。
知的財産管理業務
特許や商標を管理する業務だね。
主に、以下の業務があるよ。
・ 知的財産の侵害調査業務
・ 知的財産の出願業務
・ 知的財産の管理業務
・ 知的財産の侵害に対する対応業務
労務支援業務
従業員と会社の関係で生じる問題に対応する業務だね。
主に、以下の業務があるよ。
・ 労務トラブルへの対応業務
・ ハラスメント防止の啓蒙業務
・ 懲戒案件への対応
・ 対外的な従業員トラブルへの対応
商事(会社)法務
商事(会社)法務には以下のような業務があるよ。
・ 株主総会の運営業務
・ 取締役会の運営業務
・ グループ会社管理業務
・ 株式事務に関する業務
・ 定款・各種社内規程の作成・管理業務
・ M&Aに関する業務
会社の経営にちかいところの業務ってイメージなんだね。
その他
2つの分類にあてはまらないような業務だね。
主に、以下の業務があるよ。
・ 印章(会社の印鑑)の管理業務
・ 登記の写し、印鑑証明書の管理業務
・ 顧問法律事務所との連絡・調整業務
・ 社内の法律相談の窓口業務
法務事務って感じの業務だね。
企業法務のやりがい、魅力
企業法務のやりがいや魅力ってどんなところにあるのかな?
私が考える魅力は以下のとおりかな。
・ 学んだ知識がそのままスキルとして活かせる
・ 確固たるスキルが身につく
・ 経営に近いところで働くことができる
・ 外出の機会が少ない
学んだ知識がそのままスキルとして活かせる
企業法務は、いかに法律知識を駆使できるかが成果に大きく影響します。
上記であげた業務も法律を知らなければ遂行できません。
その逆で、法律を勉強すればするほど活躍できるフィールドが広がるのです。
自分の努力次第でいくらでも活躍の場を広げることができるのが法務の魅力といえるでしょう。
確固たるスキルが身につく
企業法務の仕事は専門スキルであり誰でもできる仕事ではありません。
勉強した知識、業務で学んだスキルなどを積み重ねれば専門人材としての価値も上がります。
つまり、替えのきかない人材になることができるのです。
社内で替えがきかないだけでなく転職市場でも貴重な人材になることができるのです。
確固たるスキルを身につけた専門人材となることができるのが魅力といえるでしょう。
経営に近いところで働くことができる
商事法務であげたような業務はマネジメント層との連携が不可欠です。
また、法務面での経営判断のサポートも重要な業務になります。
こういった業務では自然と経営に近い距離で仕事をすることになります。
これは会社員として成長するには貴重な経験になることでしょう。
マネジメント層と業務で関わっていけることも魅力といえるでしょう。
外出の機会が少ない
企業法務が外出する機会はかなり限られています。
私が経験した外出の機会はだいたい以下のようなときに限られました。
・ 登記の写し、印鑑証明書を法務局に取りに行くとき
・ 顧問の法律事務所を訪問するとき
・ 行政の立ち入り調査が支店に入る際の出張
夏や冬の時期に外出があまりないことも魅力といえるでしょう。
企業法務におすすめの本
企業法務を始めるにあたっておすすめの本とかないかな?
おすすめの本を3つ紹介しようか。
契約書作成・レビューの実務ー企業法務1年目の教科書
企業法務で最初に取り組むことが多いのは「契約業務」です。
その契約業務の実務までを丁寧に解説している1冊となります。
これを読めば以下のような契約業務の一連の流れは把握できるでしょう。
・ 契約書のレビューの仕方
・ 事業部とのコミュニケーションの仕方
・ 契約書作成の事務手続き
レビューをして修正依頼をして書類にまとめる事務手続きを経る一連の流れを解説しています。
企業法務1年目の教科書としては非常に優れている1冊だと思います。
企業法務入門のテキスト
企業法務初心者向けのケーススタディ形式の1冊です。
具体的な事例に沿って企業法務の仕事を解説してくれています。
「法友電気」という架空のメーカーを舞台としていて実際の業務をイメージすることができます。
初心者向けなので内容もそこまで難しくありません。
物語形式なのでスラスラ読めるのも特徴です。
企業法務を始めるにあたって読んでおきたい1冊だと思います。
法務の技量
企業法務に従事するすべての人におすすめできる1冊です。
著者の社内弁護士としてのノウハウを具体的にわかりやすく提供してくれています。
約80もの具体的な事例を挙げたケーススタディ形式の1冊です。
属人化されがちな企業法務のノウハウをあますことなく披露してくれています。
この1冊を読み上げる頃には企業法務としてのレベルも上がっていることでしょう。
企業法務が取るべきおすすめの資格
企業法務として取っておくべき資格ってあるかな?
おすすめの6つの資格を紹介するよ。
・ 行政書士
・ ビジネス実務法務検定
・ 知的財産管理技能検定
・ 個人情報保護士
・ 宅地建物取引士
・ 日商簿記
行政書士
行政書士試験では基本となる法律を学ぶことができます。
また、以下の行政書士試験で学ぶ法律は企業法務で使う法律でもあります。
・ 民法
・ 商法/会社法
・ 個人情報保護法
企業法務でも最重要といってもいい法律なんだ。
大事な法律が学べるならおすすめの資格といえるね。
※行政書士試験の勉強法について、詳しくはこちらをご覧ください。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は名前のとおりビジネスで使う法律を学ぶことができます。
企業法務として働く上で避けてはとおれない代表的な法律を学ぶことができます。
企業法務を始める際には最初に取得するのがおすすめの資格といえます。
※ビジネス実務法務検定について、詳しくはこちらをご覧ください。
知的財産管理技能検定
知的財産に関する業務に従事する際には必須の知識を学ぶことができます。
知的財産法として以下のような法律について学ぶことができます。
・ 特許法
・ 商標法
・ 意匠法
・ 著作権法
・ 不正競争防止法
知的財産に関する業務につくときには勉強しておきたい資格だね。
※知的財産管理技能検定について、詳しくはこちらをご覧ください。
個人情報保護士
近年、個人情報の管理について世間の目も厳しくなってきています。
その中で、個人情報保護法の遵守が強く求められるようになっています。
法務として個人情報保護法を知っておく必要があるのです。
そこで個人情報保護法が体系的に学べる資格が個人情報保護士なのです。
個人情報の業務に従事する際には取得するのがおすすめの資格といえます。
※個人情報保護士について、詳しくはこちらをご覧ください。
宅地建物取引士
ビジネスをする上で不動産に関する法律は避けてはとおれません。
オフィスを借りたりする必要があるからです。
また、宅地建物取引士試験では民法を勉強します。
行政書士試験のところで説明したとおり企業法務で重要な法律も学ぶことができます。
この2つの意味で宅地建物取引士も取得するのがおすすめの資格といえます。
日商簿記
商事(会社)法務や戦略法務では簿記の知識は重要な役目を果たします。
多くの場合で計算書類(財務諸表)が登場するからです。
この計算書類(財務諸表)を読み解く知識が日商簿記で学ぶ知識です。
マネジメント層との会話でもこの知識がないとついていけない可能性があります。
日商簿記も企業法務として取得するのがおすすめの資格といえるでしょう。
企業法務になるには
企業法務になるにはいくつかのルートがあるんだ。
主なルートは以下のとおりだよ。
・ 総合職で入社後、法務部門に配属されるパターン
・ 弁護士として、法務部門の求人で採用されるパターン
・ 司法書士試験合格後、法務部門の求人で採用されるパターン
・ 法科大学院卒業後、法務部門の求人で採用されるパターン
・ 法務職を目指す転職で、法務部門の求人で採用されるパターン
私は、一番下のパターンで企業法務になることができました。
難関な試験に挑戦した経験がある人ほど市場では有利になる傾向があります。
就職の難易度は以下のとおりといえるでしょう。
司法試験合格者 < 司法書士試験合格者 < 法科大学院卒業生 < 行政書士試験合格者
なお、総合職として法務職に配属される確率はかなり低いです。
運まかせになるのでおすすめできる方法ではありません。
企業法務のおすすめの志望動機(志望理由)
企業法務の就職活動でおすすめの志望動機についていくつかまとめてみました。
・ 法律の勉強が好き
・ 学んだ知識がそのままスキルとして活かせる魅力がある
・ 確固たるスキルをもって仕事がしたい
・ 経営に近いところで働ける魅力がある
企業法務のやりがいにつなげた志望動機はおすすめできると思うよ。
教えてもらったことを参考に自分の言葉で考え直してみるね。
まとめ
企業法務の全体像がイメージできるようになったよ。
今回伝えたことをまとめていこうか。
企業法務の分野には2種類の分類の仕方がありました。
・ 予防法務
・ 臨床法務
・ 戦略法務
・ 事業法務
・ 商事(会社)法務
・ その他
今回は2種類目の分類で仕事内容を教えてくれたよね。
事業法務の仕事内容は以下のとおりでした。
・ 契約業務
・ コンプライアンス業務
・ 知的財産管理業務
・ 労務支援業務
商事(会社)法務の仕事内容は以下のとおりでした。
・ 株主総会の運営業務
・ 取締役会の運営業務
・ グループ会社管理業務
・ 株式事務に関する業務
・ 定款・各種社内規程の作成・管理業務
・ M&Aに関する業務
その他の業務は以下のとおりでした。
・ 印章(会社の印鑑)の管理業務
・ 登記の写し、印鑑証明書の管理業務
・ 顧問法律事務所との連絡・調整業務
・ 社内の法律相談の窓口業務
企業法務のやりがいや魅力は以下のとおりでした。
・ 学んだ知識がそのままスキルとして活かせる
・ 確固たるスキルが身につく
・ 経営に近いところで働くことができる
・ 外出の機会が少ない
企業法務におすすめの本は以下の3冊でした。
企業法務が取るべきおすすめの資格は以下のとおりでした。
・ 行政書士
・ ビジネス実務法務検定
・ 知的財産管理技能検定
・ 個人情報保護士
・ 宅地建物取引士
・ 日商簿記
企業法務になるためのルートは以下のとおりでした。
・ 総合職で入社後、法務部門に配属されるパターン
・ 弁護士として、法務部門の求人で採用されるパターン
・ 司法書士試験合格後、法務部門の求人で採用されるパターン
・ 法科大学院卒業後、法務部門の求人で採用されるパターン
・ 法務職を目指す転職で、法務部門の求人で採用されるパターン
企業法務のおすすめの志望動機(志望理由)は以下のとおりでした。
・ 法律の勉強が好き
・ 学んだ知識がそのままスキルとして活かせる魅力がある
・ 確固たるスキルをもって仕事がしたい
・ 経営に近いところで働ける魅力がある
企業法務になれるように頑張ってみたいと思ったよ。
それなら良かった。
頑張ってね。